京都ではひな祭りの時期になると「ひちぎり」という生菓子を食べる風習があります。ぱっと見はかたつむりか何か?と思えるような面白い形をした生菓子です。
江戸時代創業の老舗和菓子店「鍵善良房」の当代、今西善也さんが書かれた「婦人画報」のウェブ版記事を見つけました。鍵善さんは親子二代で祇園祭の長刀鉾のお稚児さんを務められています。
節句のころには「ひちぎり」というお菓子を作ります。餡(あん)をカタツムリのような形にしたお菓子である「ひちぎり」は元々、上巳の節句に宮中で食べられたひっちぎり餅からきているとされています。貝殻に似た形なので「あこや」という名前で売る菓子屋もあります。いまのように、全国誰もがリアルタイムに同じ情報を得られる時代ではなかった昔、宮中で食べられるものに憧れて作られたお菓子。その「ひちぎり」は、お菓子屋さんそれぞれに意匠が違い、なかなかおもしろいものです。
気のせいでしょうか、ここ数年でかなりメジャーになった気もします*1。いろいろな和菓子店から販売されますが、ちょっとずつ違う感じの形なので食べ比べてみるのもいいかも。
お茶人の間では常識?「ひちぎり」の由来。
先日のお茶のお稽古はちょうどひな祭り前だったのでお菓子が「ひちぎり」でした。やった~!と思いながらくろもじで切り、ゆっくりいただいていたところ・・・真横にいらした先生が真面目な顔をしてボソッと、
「ひちぎりって、女性器の形由来のお菓子なんやで」
と、教えてくださいました。先生曰く、お茶人の間では常識だとか?
また冗談を言わはったんやなあ・・・いつもながらふざけてはるわと思いながら後で調べてみましたら「ひな祭りのひちぎり、はまぐりは女性器を表わしており、子宝繁栄の象徴である」と書いてあるサイトもいくつかありました(下記は京大工学部卒、茶室設計専門の岩崎泰さんのブログからお借りしています)。
古来「貝合わせ」の遊びがあるように、蛤の貝はぴたりと合う組み合わせがひとつであることから貞淑の象徴(他の貝でも同じような気もしますが、、)。「蛤」も「菱餅」も「ひちぎり」も女性器を表してるという話もありますが、そう言われると雛祭りって随分生々しい、、、。昔の日本人の性意識ってどんなんだったんだろうという気もします。
もともと雛まつりは女の子のお祭りで、女の子の健やかな成長、幸せな結婚と子孫繁栄を願う意味がありますものね・・・書こうかどうか迷ったのですが、興味深かったのでアップしてみました。どうぞご参考までに。
*1:まあ、でも京都でひな祭りのお菓子と言えば「三色ゼリー」のほうが実はダントツでメジャーだとは思います。学校給食で出されていたのは大きい!