京都てっぱん日記

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古都のいやらしさを書いた井上章一『京都ぎらい』が、2016年新書大賞受賞!

詳しくはこちら→京都ぎらい (朝日新書)

 

少し前から話題になっていましたが、『京都ぎらい*1』をちらっと読んでみましたので感想がてら書いてみます。井上章一さんの本は大昔に読んだ「美人論」以来、久しぶりです。

井上さんは洛星高校→京都大学という京都人のエリートコース(ちょっと古いかな?)を歩んできたお方。現在は国際日本文化研究センターの教授です。テレビにも時々コメンテーターとして出られ、面白い意見を言うてはります!

  

洛中は偉い?田舎もんとは違いますえ(^_^;

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文中では洛中=碁盤の目の中にお住まいの方が洛外の方を見下しているエピソードとして、下のようなやりとりが書かれています。著者が京都の有名町家・杉本家住宅を訪れたときのことです。

あらかじめ電話をかけて、訪問の約束ができた日に、私は同家をたずねている。初対面の九代目当主、故杉本秀太郎氏とも、会うことができた。こちら側の依頼ごとも、過不足なくつたえている。杉本氏も、調査の件は、こころよくひきうけてくれた。

ただ、私のしゃべる京都弁らしい言葉づかいが、どこか気になったせいだろう。杉本氏は、こんな質問を私にぶつけてきた。

「君、どこの子や」

たずねられた私は、こたえている。

「嵯峨からきました。釈迦堂と二尊院の、ちょうどあいだあたりです」

この応答に、杉本氏はなつかしいと言う。嵯峨のどこが、どう想い出深いのか。杉本氏は、こう私につげた。

「昔、あのあたりにいるお百姓さんが、うちへよう肥をくみにきてくれたんや」

京都ぎらい より

京都らしい言い回しではありますが、嵯峨は洛中からは見下されているということです。ギョッとする方もいらっしゃるかと思いますが・・・京都では常識。洛外の人に対してめっちゃ偉そうな人もいます(^^;

オタク母の知人が結婚して洛中の田の字地区内のマンションに引っ越さはったのですが、話していると言葉の端々から、

「わたしはあんたら田舎もんとは違うんやで、子どもは文科省指定のモデル校(注:御所南小&御池中学)に通ってますねん」

みたいなオーラが感じられるのは気のせいかなあ。結婚して引っ越しただけやんか~、と思いながらニコニコと笑って受け流しています・・・ほんまにイヤな感じやわ♪

  

異例のヒット!『京都ぎらい』。

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本の後半はクドくてあまり面白く思えなかったので省略。秘かに京都人の常識だと思っていたことが、こんなに世間にウケるとは思いませんでした。関西の京都以外の地域(特に大阪)でよく売れているそうです。でも、ウケ狙いや興味本位で京都人にこの本を見せても、

「いややわあ、そんなん思てへんで~、この本、ウソばっかり書いてはるわ!」

(裏の声:そうやで、この本の通りやで。京都人はイケズやし京都がいちばん偉いと思ってるわ。・・・で、何?)

と、言われるだけですのでご注意下さいね。ありきたりの京都礼賛本に飽きた方には特にお勧めの本です!

*1:この本の特に前半は、井上先生の恩師でもあって文中にもちらっと出てくる元・京都大学教授の梅棹忠夫さんの著書『梅棹忠夫の京都案内 』にとてもよく似ています。京都人のイケズや京都的中華思想など・・・少し古いのですが、こちらも一読の価値がある本です。