京都てっぱん日記

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平成版細雪?綿矢りさ「手のひらの京(みやこ)」。

5月が始まりました!1月は往ぬる、2月は逃げるなんていうけれど3月、4月もあっという間に過ぎた気がします!(年のせいかな)

仕事から帰ってきてもそのまま寝るのも惜しくて・・・電子書籍やamazonでポチった本を読んだりと悪あがきしてから寝るのはいつものこと。

今月は買った本がちょっと面白かったのでならべてみました。どれも軽く読める本で「あまから手帖5月号「京都の迷い方」も興味深かったけれど、いちばん面白かったのは綿矢りささんの文庫本!

 

手のひらの京(みやこ)

京都ご出身、綿矢りささんは高校生で文藝賞を受賞、史上最年少の芥川賞作家さん。読みたかった「手のひらの京(みやこ)」が文庫化されていたので買ってみました。恥ずかしながら作品を読んだのは初めてでしたが・・・三姉妹の話、京都あるある満載で面白かったです。

実は綿矢さんは知り合いの知り合い(向こうは全く知らないだろうけれど)なので、生活圏がややカブっていて共感できるところが多かったです。今は無きしょうざんボウルとか、送り火を西大路通と北大路通の曲がり角から見るとか(教会がある辺り、今はアマン京都への小道の入口かな?)

お見事♪

京都の伝統芸能「いけず」は先人のたゆまぬ努力、また若い後継者の日々の鍛練が功を奏し、途絶えることなく現代に受け継がれている。ほとんど無視に近い反応の薄さや含み笑い、数人でのターゲットをちらちら見ながらの内緒話など悪意のほのめかしのあと、聞こえてないようで間違いなく聞こえるくらいの近い距離で、ターゲットの背中に向かって、簡潔ながら激烈な嫌味を浴びせる「聞こえよがしのいけず」の技術は、熟練者ともなると芸術的なほど鮮やかにターゲットを傷つける。

普段おっとりのほほんとして響く京都弁を、地獄の井戸の底から這い上がってきた蛇のようにあやつり、相手にまとわりつかせて窒息させる呪術もお手のものだ。女性特有の伝統だと思われている向きもあるが、男性にももちろん熟練者は多い。嫌味の内容は普通に相手をけなすパターンもあれば、ほんま恐ろしい人やでと内心全然こわくないのに大げさにおぞけをふるうパターンもある。しかし間違ってはいけないのはこの伝統芸能の使い手は集団のなかにごく少数、学校のクラスでいうと一人か二人くらい存在しているだけで、ほとんどの京都市民はノンビリしている。

手のひらの京

綿矢さんって色々な描写が言葉巧みで細かいのですが、イケズ描写もさすがです。ケンミンショーやちゃちゃ入れマンデーのおかげで京都はイケズが多い、下手したらイケズしか住んでへんと思われてるかもしれへんけど・・・たいていの方は普通やと思います。

個人的には「イケズの周りにはイケズが多い」ような気も?だんだん似てくるんやろか、恐ろしや。

 

平成版細雪?古都?

 「家族との思い出がたくさんある土地。住んでいる人にとっての京都をずっと書きたかった」と、綿矢りささん(32)は言う。個性的な3姉妹の日常を描く長編『手のひらの京(みやこ)』の隠れた主人公は、自身が生まれ育った京都の街。歴史ある土地に流れる時間と空気がもたらす心の微妙な揺れを軽快なタッチですくい上げている。

(中略)

 夏を彩る祇園祭や大文字焼きのにぎわい、秋の風とともに美しさを増す鴨川沿いの紅葉…。四季折々の情景に小事件が重ねられるあたりは、谷崎潤一郎の『細雪』の趣もある。「登場人物が多い豊かな物語だけれど関西弁の会話のせいもあって暢気(のんき)さも漂う。『細雪』のそんな空気感にひかれる」

綿矢りささん新刊「手のひらの京」 3姉妹の心情に託す 古都の不思議な魅力(1/3ページ) - 産経ニュース

解説でも「単行本が出たとき、この本は綿矢版細雪とうたわれた」とかでどこも細雪と絡めたい感じなのかな。そう言えばうっすら記憶をたどると、恋人と会う前に着物をコーディネートするシーンがどちらもあったような(谷崎潤一郎のあんな豪華絢爛な感じでは無かったけれど)。

美人で京都を出て行く決意をした三女の凛ちゃん=綿矢りささんなんだろうなあ。個人的には次女の羽依ちゃんぐらいカッコ良くイケズに刃向かえたならなあ、なんて考えながら読みました。誰に共感できるか、宜しければチェックしてみて下さいませ。