この時期に世間で話題になる「稚児(ちご)」いわゆる「お稚児さん」とは、長刀鉾に乗る男の子で、祇園祭の主役です。お稚児さんは本人だけでなくご両親の衣装代や周囲の方たちへのお礼代などで莫大な費用がかかるため、お金持ちの家のお坊ちゃんしか選ばれません。
以下、お稚児さんスゴいネタをまとめてみました。
金額がスゴい!
お稚児さんに選ばれるには一説には数千万円かかるとの噂。オタク母は某有名神社で長年アルバイトをしていたためにちらっと聞いたことがありますが、実際にかなりまとまった金額*1だったため、びっくりした記憶があります。
ちなみに2019年に選ばれたのは鼓月のおぼっちゃん、ご自分もお稚児さんを過去に務められたお父さまのインタビューが載っていますので良ければご覧下さい。あまり明け透けには話せないような感じですが興味深いです。
→長刀鉾稚児家 祇園祭への想い | Kyoto love Kyoto. 伝えたい京都、知りたい京都。
ちなみに聞くところによると、この時もきめ細やかなお世話だったそうです。さすが経験者!(というか巷の噂はホンマこわい)
PR効果もあって箔がついてスゴい!
祇園祭の稚児には他にも神幸祭・還幸祭で神輿の先導役をする久世駒形稚児(くぜこまがたちご)や、鉾の先導役として6人の稚児が巡行に参加する綾傘鉾(あやがさぼこ)のお稚児さんもいはりますが、長刀鉾のお稚児さんはやはり注目度が違います。
ちなみに「夏柑糖」で有名な老松のご子息や、お香で有名な松栄堂の現社長も長刀鉾のお稚児さん経験者です。
長刀鉾のお稚児さんになると、葵祭の斎王代と同じように
「○○の××さんって、祇園祭のお稚児さんしはったんやてぇ~」
と後々まで話題になりますので、お商売をされているお家には箔がついてかなり良い宣伝になるのだそうです。知らんけど。
ハードスケジュールがスゴい!
お稚児さんに選ばれてから、山鉾巡行の翌日「お位返しの儀」 までの約1ヶ月半、本人とご家族は毎日大忙しです(7月末まで神事は続きます)。
- 7/1 お千度(八坂神社本殿を3周した後に昇殿参拝)
- 7/5 切符入(長刀鉾会所2階で稚児による太平の舞)
- 7/12 曳初め(稚児が初めて鉾に乗る)
- 7/13 社参の儀(正五位少将の位と十万石大名の格式をもらう儀式)
・・・これらはほんの一部です。他にも衣装合わせ、乗馬の練習、注連縄切りの練習、京都市長への表敬訪問などがあります。この期間、「稚児は『きゅうり』を食べてはいけない」「女性(母親含む)が稚児に触れてはいけない」などの伝統的なしきたりも多々あり、終わるまでは色々と気が抜けないようですね。
ご両親はともかく、10歳前後の子どもには本当に大変なお役目のようです。暑い中たいへんだと思いますが、頑張って頂きたいものですね。
*1:基本的には京都らしく「お気持ち」なのですが、お披露目会や記念品などをケチるとみっともないよね~ということらしいです。とあるお菓子店のぼっちゃんが選ばれたときは、末端のお手伝いの方までそのお店の製品詰め合わせが配られたと語り継がれています(噂ってホンマにこわい)。